油圧システムのパフォーマンスを最適化し、突発的な油圧トラブルを予防するためには、作動油の適切な管理と油圧システムのメンテナンスが不可欠です。
メンテナンス「作動油管理編」
本ページでは、油圧トラブル解決に向けた作動油の基礎知識から、最適なメンテナンス方法、そして静電浄油装置(EDC)の導入による効果まで幅広く紹介します 堀内機械が提供するソリューションで、油圧システムの性能を最大限に引き出しましょう。
1 油圧システムにおける作動油の基礎知識
1-1 作動油の役割
油圧システムの心臓部である作動油は、エネルギーの伝達、潤滑、冷却、そしてシールという重要な役割を果たしています。 作動油はポンプからアクチュエータへエネルギーを効率的に伝え、システムの可動部分を潤滑することで摩耗を防ぎます。 また、システム内で発生する熱を吸収・冷却し、隙間を密閉して漏れを防ぎます。これらの機能が作動油の品質に依存しているため、適切な管理が必要です。
①エネルギー伝達
- 作動油は、ポンプからアクチュエータへエネルギーを効率的に伝え、システムがスムーズに動作するようにします。
②潤滑
- 作動油は、システム内の可動部分を潤滑し、摩耗を防止します。これにより、部品の寿命が延び、システム全体の信頼性が向上します。
③冷却
- 作動油は、システム内で発生する熱を吸収し、効率的に冷却します。これにより、システムの過熱を防ぎ、安定した動作を維持します。
④シール
- 作動油は、システム内の隙間を密閉し、漏れを防ぐ役割も果たします。これにより、エネルギー損失を防ぎ、システムの効率を保ちます。
これらの機能が全て作動油の品質に依存しているため、適切な管理とメンテナンスが不可欠です。
1-2 作動油の種類
油圧システムで使用される作動油には、用途や環境に応じてさまざまな種類があります。
作動油の種類 | 特長 | 用途 |
① 鉱油系作動油 | 安価で性能が安定している | 一般的な油圧システム |
② 合成油系作動油 | 高温・低温環境で優れた性能を発揮し、耐久性が高い | 過酷な温度条件下や長寿命が求められるシステム |
③ 生分解性作動油 | 環境に優しく、自然環境への影響を最小限に抑える | 環境保護が重要な場所や油漏れリスクのある場所 |
④ 水性作動油 | 火災リスクが低く、安全性が高い | 火災の危険性が高い環境 |
1-3 作動油のメンテナンス
油圧システムの安定稼働と高信頼性を維持するためには、作動油の定期的なメンテナンスが欠かせません。
① 定期的な点検:
・作動油の色や透明度、粘度の変化を定期的に確認します。異常が見られる場合は、早めに交換することが推奨されます。
② フィルターの清掃・交換:
・フィルターが詰まるとシステムの性能が低下します。定期的にフィルターを清掃・交換し、油の流れを最適に保ちます。
③ 交換頻度:
・通常の使用条件では、2000〜4000時間ごとに作動油を交換します。過酷な環境下では、1000〜2000時間ごとの交換が推奨されます。
1-4 作動油の課題
これらの課題に対処するためには、定期的なメンテナンスと高度な浄油技術の導入が不可欠です。EDC(静電浄油装置)は、3つの課題に対して有効な解決策となります。
① コンタミネーション(汚染):
・異物や水分の混入により、油圧機器の故障原因となり、突発的な油圧トラブルを引き起こす可能性があります。
② 酸化と劣化:
・作動油の酸化により、酸化物やスラッジが生成され、油圧機器のパフォーマンスが低下し、システムの寿命が短縮されます。
③ 適切なフィルタリングの不足:
・従来のフィルターでは微細な汚染物の除去が不十分で、特に精密機器の故障リスクが増加します。
作動油の中には、突発的な油圧トラブルを引き起こす可能性がある様々なコンタミが存在し、5μm以下のものも多く混在しています。
一例として下記のコンタミ分布を見てみましょう。
コンタミ分布
作動油を長期間使用すると、油中には微細なコンタミ(汚染物質)が増加し、特に1μm以下の酸化変質物が主に存在するようになります。これらの酸化変質物は非常に細かく、フィルターでの捕捉が難しく、油の流れで流出してしまうことがあります。そのため、フィルターによる管理には限界があり、酸化変質物が油中に残り続けて濃度が高くなります。この酸化変質物は金属面に付着しやすく、タンクや配管の内部を汚染し、精密油圧部品に深刻な影響を与える可能性があります。
2 静電浄油機 (EDC) ※1 の紹介
① 静電浄油機(EDC)は「株式会社クリーンテック」の製品です。
② EDCは、油圧システムの作動油を清浄化し、油圧トラブルの解決と予防、チョコ停の防止、サイクルタイムの安定、暖気運転の短縮により、生産性を向上させる有効なデバイスです。
③ EDCは、静電気を利用して、従来のフィルターでは除去しにくい微細な粒子や水分を効果的に取り除きます。
2-2 EDCの動作原理

・油中に浮遊している汚染物が帯電することを利用し、静電気を用いて電極により汚染物を捕捉します。油の中に分散、浮遊している粒子を電気的性質で分類すると、正か負の帯電体と中性体の3種類のいずれかに分けられます。
・正、負の帯電体はそれぞれ反対の電極に引き寄せられ(電気泳動現象)、また、電極間にプリーツ状のコレクターを入れると電界の強い部分ができ、中性体が引き寄せられます(誘電泳動現象)。この2つの現象が同時に起こるように工夫したのがクリーンテックの静電浄油機EDCです。
・除去が難しい酸化変質物を除去することにより、油の清浄度を飛躍的に向上させ、超清浄な状態を維持することは油圧機器の安定稼働を実現させるとともに、作動油の寿命を大きく伸ばし地球環境に大きく貢献することができます。
2-3 EDCの基本的な接続方法
・EDCはオフラインで浄油を行うため、装置回路への負担を最小限に抑え、油圧システムの保護とメンテナンス効率化に貢献します
2-4 EDCの機能と特長
① 静電クリーニング
・EDCは、静電気を利用して油中の微細な汚染物質を引き寄せ、捕捉します。これにより、油圧トラブルの原因となる1μm以下の微粒子を効果的に除去し、油圧システムの信頼性を高めます。」
② 酸化生成物の除去
・酸化生成物の除去:作動油の使用中に発生する酸化生成物やスラッジを除去します。これにより、油圧システム内の汚染を防ぎ、油圧機器の劣化を抑制します。
③ 長寿命設計
・長寿命設計: EDC装置は、フィルターの交換頻度が低く、メンテナンスが簡便なため、長期間安定して使用することができます。また、油の交換頻度を減らすことで、ランニングコストを削減できます。
2-5 お客様の声
・「EDCを導入してから、油圧システムのパフォーマンスが大幅に向上し、突発的な油圧トラブルが減少しました。メンテナンスコストも削減でき、大変満足しています」
・「油圧トラブルによるチョコ停が減少しました!」
・「油の長寿命化により、クリーンな環境の維持が可能になります」
・「省電力を実現することにより、大幅なコストダウンがはかれます」
3 ご提案「作動油の検査承ります」
堀内のご提案
・油の交換頻度が多い、突発的な油圧トラブルが多発する、細かなスラッジをフィルタで捕集しきれない、環境負荷を低減させたい、といったお悩みをお持ちでしたら、油圧トラブル解決に向けた静電浄油機EDCをご検討されてはいかがでしょうか。
・導入前に作動油の検査を実施させていただいております。
作動油の検査の流れ
① 作動油のご提供と使用環境の情報提供
以下のような情報をご提供下さい
・設備名:油圧プレス
・作動油名:シェルテラス 32
・更油周期:2年に一回更油
・サンプルの使用期間:1年
・希望清浄度:NAS8級
・生じているトラブル状況:チョコ停削減、廃油削減
・サンプル作動油:約2リットル

② 静電浄油機で除去が可能かを確認
テスト内容例
・使用設備:卓上静電浄油機(テスト機)
・テスト油:2L
・ポンプ流量:0.2L/min
・テスト時間:6 時間(約 40 パス)
③ 検査結果のご報告
・処理前油と処理後の油顕微鏡写真などでご報告させていただきます(添付見本です)


お問い合わせはこちらから
